縄文時代からの自然の恵み ブナ
東北の山に入るとブナの林が見られます。
ブナの木の樹皮は灰色のまだらで、とても素晴らしいのです。
その葉が他の雑木のそれに比べて腐食しにくいことから、何年間にもわたって堆積しフワフワになって雨水を蓄え、地下に沁み込んで地下水となり、いつか地上に現れて川の流れになっていきます。
そこでブナの葉が堆積したものを自然のダムと呼んでいます。
世界遺産の白神山地は、人の手つかずのブナの原生林がありますが、いつか行きたいものだと思っています。
またブナはブナの仲間の͡コナラなど落葉高木と併せて、縄文時代の昔から、人間の生活やクマ(ツキノワグマ)や野ネズミなどの野生動物の命を支える食べ物として役立って来ました。
実りの秋になって、ブナの実がたくさん採れるかどうかが、野生動物のクマなどが人里に降りて来るかのバロメーターになります。
ブナの実りは周期的に良くなったり悪くなったりします。
その間隔は10年周期とも言われ、不作の年の方が多いようです。
山形県ではブナの実りの具合で、クマの対策を立てていると聞いたことがあります。
このブナの実を撮影した場所は、東根市の白水川ダムからムクロ沢に向かう林道の、谷川に架かる橋の側で撮りました。
この年はブナが大豊作で、山形自動車道を通ると、ブナの木々のどれにも実がなっていたことを思い出します。
こんなに多くのブナの実を見たのは初めてでした。
この年はクマが人里に降りてきた数は少なかったのですが、翌年は必ず不作になるはずです。
ブナは子孫を残すために大量のエネルギーを使うので、毎年同じようには実らせないで、周期的に調整していると考えられるからです。
翌年はブナの実りは不作だったと記憶しています。
ブナの実をフライパンで炒って食べてみました。
癖もなくピーナッツのように脂っこくもなく、酒のつまみに最適だと思いました。
クリのように大きくはありませんが、とても食べやすかった記憶があります。
私は山形自動車道の月山道路をたびたび走りましたが、山沿いの季節ごとのブナの木々の素晴らしさは、私にとって一生忘れられないものです。
皆さんにもぜひ見ていただきたいものです。
(ブナ科 ブナ属 落葉高木)